表は、福岡県の久山町研究において65歳以上の住民826名を15年間追跡し、65歳の時点での高血圧と耐糖能異常が、その後の脳血管性認知症とアルツハイマー病の発症に及ぼす影響について調べたものである。
この結果から導き出される結論として誤っているのはどれか。
2つ選べ。
高血圧^a|耐糖能異常^b|相対危険度^c:脳血管性認知症|アルツハイマー病/-|-|1.0|1.0/-|+|4.2*|4.6*/+|-|4.1*|0.9/+|+|5.6*|2.3*
a 収縮期血圧140 mmHg以上、又は拡張期血圧90 mmHg以上、又は降圧薬内服者を(+)とした。
b 空腹時血糖値115 mg/dL以上、又は食後2時間以後の血糖値140 mg/dL以上、又は随時血糖値200 mg/dL以上、又は糖尿病の病歴ありの者を(+)とした。
c 高血圧及び耐糖能異常がいずれも(-)の群を基準群(1.0)として表示した。
* 基準群と比較して有意差あり。
相対危険度の95%信頼区間が1.0を含まない場合に有意とした。
正答
解説
厚生労働省の発表により、本問は選択肢2、4、5のうちいずれか2つを選択した場合が正解として取り扱われた。
表を読み取ると、高血圧(-)・耐糖能異常(+)群のアルツハイマー病の相対危険度は4.6で有意であり、耐糖能異常は単独でアルツハイマー病の危険因子といえる(選択肢1は正しい記述)。
また高血圧(-)・耐糖能異常(+)群と高血圧(+)・耐糖能異常(-)群の脳血管性認知症の相対危険度はそれぞれ4.2、4.1でいずれも有意であり、高血圧・耐糖能異常はそれぞれ単独で脳血管性認知症の危険因子といえる(選択肢3も正しい記述)。
一方、耐糖能異常のない群における高血圧のアルツハイマー病に対する相対危険度は0.9で有意差がないため、高血圧がアルツハイマー病を「抑制する因子」であるとは結論できない(選択肢2は誤り)。
本研究は65歳時点の高血圧・耐糖能異常を要因、その後15年間の認知症発症を結果として追跡したものであり、脳血管性認知症を要因、高血圧を結果とする選択肢4は原因と結果を取り違えた記述で誤りである。
交絡因子は要因(耐糖能異常)とも結果(アルツハイマー病)とも関連することが要件であるが、表では高血圧単独のアルツハイマー病に対する相対危険度が0.9で有意な関連を示していないため、アルツハイマー病の解析において高血圧を交絡因子とする選択肢5も誤りである。