正答3
解説
正解は3です。
敷金の充当、交付の時期、建物譲渡による承継を問う問題です。
2020年4月施行の改正民法で、敷金に関する規定(民法622条の2)が新設されています。
【選択肢別解説】
1:× 貸主は、建物明渡し前でも、借主の未払賃料に敷金を充当することができます(民法622条の2第2項)。
これに対し、借主の側から敷金を未払賃料に充当するよう請求することはできません。
2:× 敷金は、賃貸借に基づく借主の債務を担保するために交付される金銭です。
交付の時期に制限はなく、合意があれば契約締結後に預け入れることもできます。
3:○ 引渡しを受けた借主は、建物の譲受人に賃借権を対抗できます(借地借家法31条)。
この場合、貸主の地位は譲受人に移転し、敷金返還債務も譲受人に承継されます(民法605条の2第1項・4項)。
譲受人が借主に貸主の地位を主張するには、所有権移転登記が必要です。
4:× 敷金は、明渡し時に未払賃料や原状回復費用などを当然に差し引いた残額について返還債務が生じます。
借主への通知がなくても充当の効果は生じるので、借主が行方不明でも充当は妨げられません。
【ポイント】
改正民法により、敷金の返還時期は「賃貸借が終了し、かつ明渡しを受けたとき」と明文化されました。
建物譲渡の場合に敷金が新所有者へ当然承継される点は、判例の考え方を条文化したものです。