建物明渡しの訴訟及び強制執行に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
ア 公正証書により賃貸借契約を締結したとしても、公正証書に基づき建物明渡しの強制執行を行うことはできない。
イ 訴額が60万円以下の場合は、少額訴訟を提起することにより建物の明渡しを求めることができる。
ウ 即決和解(起訴前の和解)が成立したとしても、和解調書に基づき建物明渡しの強制執行を行うことはできない。
エ 裁判上の和解が成立した場合、和解調書に基づき建物明渡しの強制執行を行うことができる。
正答3
解説
正解は3です。
建物明渡しの強制執行に使える債務名義(強制執行の根拠となる文書)が問われています。
【記述別解説】
ア:○ 公正証書のうち強制執行に使える執行証書は、金銭の一定額の支払などを目的とする請求に限られます(民事執行法22条5号)。
建物明渡しの強制執行はできないので、記述は正しいです。
イ:× 少額訴訟は、訴額60万円以下の金銭の支払を求める場合に限って利用できます(民事訴訟法368条1項)。
建物の明渡しを求めることはできないので、記述は誤りです。
ウ:× 即決和解(起訴前の和解)の和解調書は、確定判決と同一の効力を持ちます(民事訴訟法267条)。
債務名義となるので(民事執行法22条7号)、建物明渡しの強制執行ができ、記述は誤りです。
エ:○ 裁判上の和解の和解調書も、確定判決と同一の効力を持つ債務名義です。
これに基づいて建物明渡しの強制執行ができるので、記述は正しいです。
正しいのはアとエなので、正解は3です。
【ポイント】
公正証書は金銭の支払にしか使えず、明渡しには使えません。
明渡しまで見据えて事前に債務名義を得たいときは、即決和解が利用されます。