定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。
ア 定期建物賃貸借契約の事前説明において「更新がなく、期間の満了により契約が終了する」旨を記載した書面を交付して口頭で説明したとしても、賃貸借契約書に「更新がなく、期間の満了により契約が終了する」旨の記載がなければ、更新がない定期建物賃貸借契約として有効に成立しない。
イ 定期建物賃貸借契約は、書面によって締結すれば有効であり、必ずしも公正証書によって締結する必要はない。
ウ 契約期間を1年とする定期建物賃貸借契約においては、借地借家法第38条第4項に基づく終了通知は必要とされない。
エ 定期建物賃貸借契約の保証人は、定期建物賃貸借契約が期間満了後に再契約された場合、引き続き、保証債務を負担する旨を口頭で承諾したときは、再契約後の債務について保証債務を負う。
正答1
解説
正解は1です。
この問題は、定期建物賃貸借契約(借地借家法38条)の成立要件と終了通知を問うものです。
定期建物賃貸借には、書面による契約と、契約前に書面を交付して行う説明の両方が必要です。
【記述別解説】
ア:○ 適切です。
事前説明をしても、契約書自体に「更新がない」旨の定めがなければ、定期建物賃貸借は成立しません(借地借家法38条1項)。
この場合は、更新のある普通建物賃貸借として扱われます。
なお、事前説明の書面は契約書とは別個の書面でなければなりません(最判平24.9.13)。
イ:○ 適切です。
38条1項は「公正証書による等書面によって」と定めており、公正証書は例示にすぎません。
通常の書面で契約すれば有効に成立します。
ウ:× 不適切です。
終了通知が不要なのは、期間1年未満の契約です。
期間1年の契約は「1年以上」に当たるため、期間満了の1年前から6か月前までに終了の通知が必要です(出題当時の38条4項)。
エ:× 不適切です。
再契約は従前とは別の新しい契約なので、保証人とも改めて保証契約を結ぶ必要があります。
保証契約は書面でしなければ効力を生じないため(民法446条2項)、口頭の承諾では再契約後の債務を保証しません。
以上より、適切なものはアとイであり、組合せは1です。
【ポイント】
「契約書への記載」「別個の事前説明書面」「1年以上なら終了通知」が定期建物賃貸借の重要論点です。
なお、2022年5月施行の改正で、契約書や事前説明書面を電磁的方法で代えることも認められました。