次の記述のうち、宅地建物取引業者Aが行う業務に関して宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
ア 建物の貸借の媒介に際して、賃借の申込みをした者がその撤回を申し出たので、Aはかかった諸費用を差し引いて預り金を返還した。
イ Aは、売主としてマンションの売買契約を締結するに際して、買主が手付として必要な額を今すぐには用意できないと申し出たので、手付金の分割払いを買主に提案した。
ウ Aは取引のあったつど、その年月日やその取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他必要な記載事項を帳簿に漏らさず記載し、必要に応じて紙面にその内容を表示できる状態で、電子媒体により帳簿の保存を行っている。
エ Aはアンケート調査を装ってその目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに個人宅を訪問し、マンションの売買の勧誘をした。
正答3
解説
正解は3です。
宅建業者の禁止行為(預り金の返還拒否・手付の信用供与・勧誘目的の不告知)と、帳簿の電子保存を問う個数問題です。
ここでは、宅建業法に違反しない記述を○、違反する記述を×で示します。
【記述別解説】
ア:× 違反します。
相手方が申込みを撤回したときに、既に受領した預り金の返還を拒むことは禁止されています(宅建業法施行規則16条の11第2号)。
諸費用を差し引いて返すことも、その部分の返還を拒むことになるので違反です。
イ:× 違反します。
手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為は禁止されています(宅建業法47条3号)。
手付の分割払いは信用の供与に当たり、提案しただけでも誘引として違反になります。
ウ:○ 違反しません。
帳簿は、必要に応じて紙面に表示できる状態であれば、電子媒体で保存することができます(宅建業法49条、同法施行規則18条2項)。
エ:× 違反します。
勧誘に先立って、宅建業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに勧誘することは禁止されています(宅建業法施行規則16条の11第1号ハ)。
違反するものはア・イ・エの三つなので、正解は3です。
【ポイント】
手付の分割払い・後払い・貸付けは「信用の供与」として、契約に至らなくても誘引した時点で違反です。
手付の減額は信用の供与に当たらず、禁止されていない点も対比で覚えましょう。