次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文) 遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。
正答1
解説
正解は1です。
この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答え(誤った記述)です。
判決文(最判平成17年9月8日)は、相続開始から遺産分割までに生じた賃料債権の帰属を示しています。
遺産そのものと、遺産から生じた賃料債権を分けて考えることがポイントです。
【選択肢別解説】
1:○ 誤った記述です。
判決文によれば、遺産分割前に生じた賃料債権は遺産とは別個の財産です。
各共同相続人が相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、後の遺産分割の影響を受けません。
不動産を取得した相続人が相続開始時にさかのぼって取得するわけではありません。
2:× 正しい記述です。
相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属します(民法898条)。
各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します(民法899条)。
3:× 正しい記述です。
遺産分割は相続開始の時にさかのぼって効力を生じます(民法909条本文)。
ただし、第三者の権利を害することはできません(同条ただし書)。
4:× 正しい記述です。
遺産分割によって不動産の所有者が確定すれば、その後に生じる賃料はその所有者に帰属します。
分割後の賃料債権は、不動産を取得した相続人が取得します。
【ポイント】
遺産分割の遡及効(民法909条)は、分割前に確定的に取得された賃料債権には及びません。
「分割前の賃料は相続分で分け、分割後の賃料は不動産の取得者のもの」と整理しましょう。