Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
なお、これらの契約は、令和2年7月1日に締結され、担保責任に関する特約はないものとする。
正答3
解説
正解は3です。
売買と負担付贈与を、手付・書面によらない贈与・担保責任・解除の点で比較する問題です。
【選択肢別解説】
1:× 売主が手付の倍額を提供して解除できるのは、相手方が履行に着手するまでです(民法557条1項)。
履行期到来後に代金を準備して催告したことは、買主Bの履行の着手にあたります。
したがって、Aは手付による解除をすることができません。
2:× 引渡しと登記の両方が終わるまで解除できる、という部分が誤りです。
書面によらない贈与でも、履行の終わった部分は解除できません(民法550条)。
判例は、不動産では引渡しか所有権移転登記のどちらかがあれば履行が終わったとしています。
3:○ 負担付贈与の贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負います(民法551条2項)。
負担がある分だけ有償契約に近い性質を持つためです。
4:× 負担付贈与には、その性質に反しない限り双務契約の規定が準用されます(民法553条)。
受贈者が負担を履行しないときは、贈与者は債務不履行を理由に解除できます(判例)。
解除権が発生することはない、という部分が誤りです。
【ポイント】
手付解除は「相手方が履行に着手するまで」に限られます。
書面によらない不動産贈与は、引渡しか登記のどちらかが済めば解除できなくなります。