「34歳の女性。不妊症で来院。月経量は少なく、経遅がある。少し動いただけで短気が生じ、四肢厥冷もある。最近は腰膝酸軟を伴う。舌は淡で胖大、脈は沈遅を認める。」
本病証に最も随伴しやすいのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
症例の所見から病証を判断し、その病証に随伴しやすい症状を選ぶ問題です。
「四肢厥冷」と「脈は沈遅」は、陽気が不足して体を温められない虚寒の所見です。
「腰は腎の府」とされ、「腰膝酸軟」(腰と膝のだるさ・力の入らなさ)は腎の弱りを示します。
「舌は淡で胖大」は、陽気が不足して水液をさばけず、舌が白っぽく腫れぼったくなった所見です。
不妊と「月経量は少なく、経遅がある」のは、腎の陽気が不足して胞宮(子宮)を温められないためと考えます。
「少し動いただけで短気が生じ」るのは気の不足を表し、陽気の不足に伴ってみられます。
以上から、本病証は腎陽虚と判断します。
【選択肢別解説】
1:○ 五更泄瀉は、夜明け前(五更)に腹痛とともに下痢が起こる症状です。
腎の陽気が衰えて脾を温められなくなると、陰気が盛んで陽気がまだ巡らない明け方に下痢が起こります。
症例の冷えと腎の所見に合い、腎陽虚に最も随伴しやすい症状です。
2:× 消穀善飢は、食べてもすぐに空腹になる症状です。
胃に熱がこもった胃熱(胃火)の病証でみられ、症例の四肢厥冷や脈沈遅という寒の所見とは反対の性質です。
3:× 項背強は、うなじから背中がこわばる症状です。
風寒の邪が足の太陽膀胱経に侵入した太陽病(表証)でみられ、腎陽虚の症状ではありません。
4:× 目渋は、目が乾いてしょぼしょぼする症状です。
肝血や肝陰の不足で目が潤されないときにみられる乾燥の症状で、冷えを主とする腎陽虚の典型ではありません。
【ポイント】
五更泄瀉は「腎泄」とも呼ばれ、腎陽虚(脾腎陽虚)の代表的な症状です。
冷えの症状は陽虚、乾燥の症状は陰虚・血虚と、症状の性質で病証を分けて考えます。