「26歳の男性。主訴は腹痛と下痢。IT企業でストレスの多い仕事に従事している。1日数回排便する。器質的な病変はない。」
本症例の病証として最も適切なのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
症例の要点は、ストレスの多い仕事を背景にした腹痛と下痢です。
東洋医学では、精神的なストレスは肝の疏泄(気の流れを調える働き)を乱し、肝気が鬱結します。
鬱結した肝気が脾を犯すと、脾の運化が乱れて腹痛と下痢が起こります。
この病態を肝脾不和といいます。
【選択肢別解説】
1:× 脾気虚は、ストレスではなく脾の気の不足による病証です。
食欲不振、食後の腹部膨満、倦怠感、軟便が慢性的に続くのが特徴で、情緒との関連は主体ではありません。
2:× 脾腎陽虚は、ストレスではなく脾と腎の陽気の不足による病証です。
明け方の下痢、腹部や手足の冷え、腰や膝の冷えとだるさがみられます。
3:○ 肝脾不和は、肝の疏泄の失調が脾の運化を妨げる病証です。
ストレスをきっかけに腹痛が起こって下痢をし、排便すると痛みが軽くなる経過をとります。
4:× 腎気虚は、ストレスではなく腎の気の不足による病証です。
頻尿、腰や膝のだるさ、耳鳴などが特徴で、若年者のストレス性の腹痛と下痢には合いません。
【ポイント】
五行では木(肝)が土(脾)を剋するため、肝の失調が脾に及ぶことを「木乗土」と表現します。
情緒の変化で悪化する腹痛と下痢は、肝脾不和を第一に考えます。