次の文で示す症例に対して灸治療を行う場合に最も適切な経穴はどれか。
「60 歳の女性。主訴は陰部掻痒感。 4 日前に深酒をした。昨日より右膝内側から大腿部内側のひきつれ感がある。脈は左関上の浮数滑。」
正答4
解説
正解は4です。
症例の要点は「陰部の掻痒感」「深酒」「右膝内側から大腿内側のひきつれ」「左関上の脈の異常」です。
足の厥陰肝経は大腿内側を上って陰器をめぐり、左手の関上の脈は肝をみる部位とされます。
肝経の絡脈が虚すると陰部が急にかゆくなるとされ、肝経の絡穴を用いるのが適切です。
【選択肢別解説】
1:× 脛骨内縁の後際で内果尖の上方3寸は三陰交の部位です。
三陰交は脾経の経穴で、肝経の絡穴ではないため本症例の第一選択にはなりません。
2:× 前脛骨筋の外縁で外果尖の上方8寸は豊隆の部位です。
豊隆は足の陽明胃経の絡穴で、肝経とは経脈が異なります。
3:× 腓骨の前方で外果尖の上方5寸は光明の部位です。
光明は足の少陽胆経の絡穴で、陰部や大腿内側を通る肝経そのものではありません。
4:○ 脛骨内側面の中央で内果尖の上方5寸は蠡溝の部位です。
蠡溝は肝経の絡穴で、絡脈病の「虚すれば暴痒」に対応し、陰部の掻痒感に用いられます。
【ポイント】
肝経の絡脈病は「実すれば挺長(陰茎が長く伸びて勃起が続く)、虚すれば暴痒(陰部の激しいかゆみ)」と覚えます。
深酒は湿熱を生じやすく、浮数滑の脈も熱と湿の存在を示します。