22 歳の男性。
海に飛び込んで頭部を強打し、頸髄損傷(完全麻痺)と診断された。
受傷後2 週の筋力はMMT で三角筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋は段階4 。
橈側手根伸筋、円回内筋、橈側手根屈筋、上腕三頭筋は段階0 であった。
この患者の残存機能を活用した食事動作の支援用具はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
徒手筋力テスト(MMT)の結果から頸髄損傷の機能残存レベルを判定し、食事に合う支援用具を選ぶ問題です。
公式問題冊子では、図の1がPSB、2が万能カフ、3がポケット付き手関節伸展保持装具、4が食事ロボット、5が太柄スプーンです。
三角筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋が段階4で、橈側手根伸筋以下が0なので、第5頸髄(C5)まで機能が残るレベルです。
このレベルでは肩の運動と肘の屈曲は使えますが、手関節を背屈できず、手指で握ることもできません。
【選択肢別解説】
1:× PSB(ポータブル・スプリング・バランサー)は、上肢を吊り下げて腕の重さを軽くする用具です。
図ではテーブルに固定した支柱から腕を載せる台が吊り下げられています。
肩や肘の筋力が段階2〜3程度と弱く、自力で手を口元へ運べない場合に用います。
本例は三角筋と上腕二頭筋が段階4あるので、上肢を吊り下げて支える必要はありません。
2:× 万能カフは、手掌に巻いたベルトにスプーンなどを差し込んで固定する自助具です。
手関節を自力で背屈して保持できるC6レベル以下で有用です。
本例は手関節の背屈筋が段階0なので、カフだけでは手関節が垂れてしまい、食器を口に向けられません。
3:○ ポケット付き手関節伸展保持装具は、手関節を背屈位に固定し、手掌側のポケットにスプーンやフォークを差し込んで使う装具です。
図では前腕から手掌までを覆う装具のポケットにフォークが差し込まれています。
手関節背屈ができないC5レベルでも手関節が安定し、残っている肩と肘の屈曲の力で食物を口へ運べます。
4:× 食事ロボットは、顎やスイッチの操作でロボットアームが食物を口元まで運ぶ機器です。
上肢をほとんど使えないC4以上の高位頸髄損傷が主な対象です。
本例に残っている肩と肘の機能を活用する用具ではありません。
5:× 太柄スプーンは、柄を太くして握りやすくした自助具です。
手指で握る力がある程度あることが前提であり、手指の筋が働かないC5レベルでは保持できません。
【ポイント】
食事の支援は、C4以上は食事ロボット、C5は手関節を固定する装具(肩・肘が弱ければPSBを併用)、C6は万能カフと手関節背屈を使った把持、と整理しましょう。
問題文のMMTの結果から、どの髄節まで機能が残っているかを判定するのが第一歩です。