72 歳の女性。
右利き。
突然発症した頭痛で救急搬送された。
搬入時頭部CT 画像(別冊No. 1)を別に示す。
この患者の症状で最も見られるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
突然の頭痛で発症した脳出血のCT所見から、病巣部位とそこで生じやすい高次脳機能障害を結びつける問題です。
CT画像は向かって右側が患者の左側です。
画像では、左の頭頂葉から後頭葉にかけての皮質下(側脳室後角の外側)に、境界が明瞭な高吸収域(白く写る出血)がみられます。
左頭頂葉、特に角回付近の障害では、失算・失書・手指失認・左右識別障害からなる Gerstmann 症候群が生じます。
【選択肢別解説】
1:○ 失算は、左頭頂葉の角回・縁上回の障害で生じる代表的な症状です。
本例の出血は左頭頂葉の皮質下にあり、Gerstmann 症候群の一症状として失算が最も出現しやすいと考えられます。
2:× 運動失語(Broca 失語)は、左前頭葉の下前頭回後部(Broca 野)の障害で生じます。
本例の病巣は頭頂葉から後頭葉にあり、前頭葉は保たれています。
3:× 着衣失行は、主に右頭頂葉の障害で生じます。
本例は左半球の病変であり、着衣失行が生じる典型的な部位ではありません。
4:× 身体部位失認(指示された自分の身体部位を指せない障害)は、左頭頂葉の病変で報告されることがあります。
しかし出現はまれであり、最も見られる症状としては Gerstmann 症候群に含まれる失算のほうが適切です。
5:× 左半側視空間失認(左半側空間無視)は、右半球、特に右頭頂葉の障害で生じます。
左半球の病変で起こるのは右側の無視ですが、頻度も程度も右半球病変より低いです。
【ポイント】
左頭頂葉(角回)の障害は Gerstmann 症候群、右頭頂葉の障害は左半側空間無視・着衣失行・構成障害と対比して覚えましょう。
CTでは、急性期の出血は高吸収域(白)、脳梗塞は低吸収域(黒)として写ります。