正答5
解説
正解は5です。
両手で紙をつまんで左右に引くと、尺骨神経麻痺側では母指のIP関節が屈曲します。
これをFroment(フロマン)徴候といい、本例では左母指にこの所見がみられます。
母指内転筋(尺骨神経支配)が弱いため、長母指屈筋(正中神経支配)で代償して紙を挟むことで起こります。
【選択肢別解説】
1:× Guyon(ギヨン)管症候群は手関節部での尺骨神経障害で、Froment徴候を示すことがあります。
しかし所見は左手にみられるため、右側の障害は該当しません。
2:× 手根管症候群は手関節部での正中神経障害です。
母指球筋の萎縮や母指対立障害、母指〜環指橈側のしびれを示し、Froment徴候は示しません。
3:× 後骨間神経麻痺は橈骨神経の運動枝の障害です。
手指MP関節の伸展ができない下垂指を示し、つまみ動作でのIP関節屈曲は起こりません。
4:× 前骨間神経麻痺では長母指屈筋と示指の深指屈筋が麻痺します。
母指IP関節と示指DIP関節が曲がらず、つまむと指先が反り返る涙のしずく徴候を示します。
Froment徴候とは逆の所見です。
5:○ 肘部管症候群は肘部での尺骨神経障害で、母指内転筋が麻痺してFroment徴候が出ます。
左母指に所見がみられるため、左肘部管症候群が考えられます。
【ポイント】
Froment徴候は尺骨神経麻痺、涙のしずく徴候は前骨間神経麻痺と対比して覚えます。
尺骨神経麻痺では、ほかに鷲手(かぎ爪変形)や環指・小指のしびれもみられます。