50歳の女性。
左椎骨動脈解離によるWallenberg 症候群で3週経過した。
四肢に麻痺と高次脳機能障害はないが、摂食嚥下障害があり経鼻経管栄養が開始された。
嚥下造影では咽頭収縮不良による左側咽頭通過障害を認め、唾液を常にティッシュで拭っている状態である。
発熱はなく、呼吸状態は安定している。
この患者への対応で正しいのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
Wallenberg症候群(延髄外側症候群)では、病巣と同じ側の咽頭・喉頭の麻痺が起こり、嚥下障害が出やすくなります。
本例は左の咽頭収縮が不良で、食塊が左側を通りにくい状態です。
発熱がなく呼吸状態も安定しているため、積極的な嚥下リハビリテーションの対象になります。
【選択肢別解説】
1:× 食物を使わない間接訓練は禁忌ではなく、むしろ早期から行います。
咽頭や食道入口部の機能を高める訓練が有効です。
2:○ 頸部を麻痺側の左へ回旋すると、左側の梨状窩が狭くなり、食塊は健側の右側を通りやすくなります。
片側の咽頭通過障害に対する代表的な代償法です。
3:× 間欠的経管栄養(食事のたびに口から管を挿入する方法)は、意識や認知が保たれた嚥下障害に適応があります。
本例はよい適応であり、経鼻チューブの常時留置を避けられる利点もあります。
4:× 垂直座位では、咽頭にたまった唾液が重力で気道へ流れ込みやすくなります。
唾液の誤嚥を防ぐには、リクライニング位などの姿勢調整を検討します。
5:× 頸部の筋力訓練は禁忌ではありません。
頭部挙上訓練などは食道入口部の開大を助ける訓練として用いられます。
【ポイント】
片側の咽頭麻痺では「頸部を麻痺側へ回旋」して健側を通す、と覚えます。
回旋する向きと食塊の通る側が逆になる点がよく問われます。