緩衝食塩溶液の希釈系列に検体A(ヘパリン血)を滴下後37℃で2時間静置した。
その溶血度(%)と食塩濃度(%)の関係(別冊No.13)を別に示す。
考えられるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
食塩濃度を段階的に下げた溶液に赤血球を入れ、どの濃度で溶血するかを調べる赤血球浸透圧抵抗試験です。
別冊No.13では、健常検体(網掛けの範囲)は食塩濃度0.6〜0.7%付近から溶血し始め、0.45%付近までに大部分が溶血しています。
検体Aの曲線(破線)は全体に左へずれており、0.55%付近でようやく溶血し始めます。
0.1%付近の低い食塩濃度でも溶血度は約60%にとどまり、溶血しきらない赤血球が多く残っています。
これは低張液に対する抵抗性が高い(浸透圧抵抗の増大)ことを示します。
【選択肢別解説】
1:○ 鉄欠乏性貧血の赤血球は小型で薄く、容積に比べて表面積に余裕があります。
低張液で水を取り込んでも壊れにくく、浸透圧抵抗は増大します。
図の所見に一致します。
2:× 巨赤芽球性貧血の赤血球は大型ですが、浸透圧抵抗試験で健常検体から大きくずれる代表的な疾患ではありません。
3:× 再生不良性貧血は造血の低下による貧血で、赤血球の形は正常に近く、浸透圧抵抗はほぼ正常です。
4:× 遺伝性球状赤血球症の赤血球は球状で表面積に余裕がないため、低張液ですぐ壊れます。
浸透圧抵抗は減弱し、曲線は右へずれます。
5:× 自己免疫性溶血性貧血でも球状赤血球が出現しやすく、浸透圧抵抗はむしろ減弱します。
図のような増大は示しません。
【ポイント】
浸透圧抵抗の減弱(右方移動)は遺伝性球状赤血球症、増大(左方移動)は鉄欠乏性貧血やサラセミアが代表です。
標的赤血球や菲薄赤血球は抵抗が増大すると覚えます。