自動血球計数器法で赤血球ヒストグラム(別冊No.11)を別に示す。
赤血球125万/µL、Hb 7.5 g/dL、Ht 15%で矢印の所見が認められた。
可能性があるのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
自動血球計数器は、粒子の大きさ(体積)で赤血球を数えます。
赤血球が凝集すると、凝集した塊が大きな1つの粒子として数えられ、測定値に異常が生じます。
図と数値の所見を確認します。
ヒストグラムでは、正常な赤血球の大きさ付近に主な山があります。
それとは別に、矢印で示す主な山の約2倍の体積の位置に、小さな2つ目の山があります。
これは赤血球が2個、3個と凝集した塊を示します。
数値からMCV(平均赤血球容積)=Ht×10÷赤血球数(百万/µL)=15×10÷1.25=120fLと高値です。
MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)=Hb÷Ht×100=7.5÷15×100=50g/dLとなります。
MCHCが生理的にありえないほど高いことは、赤血球数とHtが偽低値になっていることを示し、寒冷凝集素症の典型的な所見です。
【選択肢別解説】
1:× 高血糖では、希釈液中で赤血球が膨らみ、MCVが見かけ上高くなることがあります。
しかし赤血球が凝集するわけではなく、大きな体積の2つ目の山はできません。
2:× 巨大血小板は、赤血球より小さい体積の領域に出現します。
ヒストグラムの左端(小さい側)に影響し、右側に山をつくることはありません。
3:× 破砕赤血球は正常な赤血球より小さい断片です。
ヒストグラムの左側(小さい側)に分布し、右側の山の原因にはなりません。
4:○ 寒冷凝集素症では、室温で赤血球が凝集します。
凝集塊が大きな粒子として数えられるため、右側に2つ目の山ができ、赤血球数とHtが偽低値、MCVとMCHCが偽高値になります。
検体を37℃に加温して再測定すると、凝集が解けて正しい値が得られます。
5:× 高ビリルビン血症は、ヘモグロビンの吸光度測定に影響することがあります。
赤血球の体積分布には影響せず、右側に山をつくることはありません。
【ポイント】
MCHCが異常に高いときは、寒冷凝集素(偽高値)や乳び・溶血などの測定上の影響を疑います。
寒冷凝集素では37℃に加温して再測定するのが対処法です。