末梢血のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 10)を別に示す。
この疾患で認められる検査所見はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
別冊No. 10の末梢血標本では、中央に淡い部分(中央淡明部)をもつ正常な形の赤血球に混じって、小さく、濃く均一に染まり、中央淡明部のない円形の赤血球が多数みられます。
これは球状赤血球で、多数みられることから遺伝性球状赤血球症が考えられます。
球状赤血球は表面積が小さく、水を取り込める余裕がないため、低張液の中で壊れやすくなります。
【選択肢別解説】
1:× 赤血球CD59の欠損は、発作性夜間ヘモグロビン尿症でみられる所見です。
補体から赤血球を守る蛋白が欠けて溶血が起こりますが、球状赤血球は特徴ではありません。
2:× ADAMTS13活性の著減は、血栓性血小板減少性紫斑病でみられる所見です。
この病気では、末梢血に球状赤血球ではなく破砕赤血球が出現します。
3:○ 遺伝性球状赤血球症では、球状の赤血球が低張食塩水の中で正常より早く溶血します。
これを赤血球浸透圧抵抗の減弱(浸透圧脆弱性の亢進)といい、診断に用いられます。
4:× 血清βリポ蛋白の低値は、無βリポ蛋白血症でみられる所見です。
この病気では、球状赤血球ではなく突起をもつ有棘赤血球が出現します。
5:× ヘモグロビンS陽性は鎌状赤血球症の所見です。
この病気では、球状赤血球ではなく鎌状の赤血球が出現します。
【ポイント】
遺伝性球状赤血球症は、赤血球の膜骨格蛋白(スペクトリンやアンキリンなど)の異常による先天性溶血性貧血です。
平均赤血球ヘモグロビン濃度〈MCHC〉の上昇、脾腫、黄疸、胆石を伴いやすいことも覚えておきましょう。