46歳の男性。
主訴は腹部不快感。
現病歴として、外国旅行中に加熱不十分の牛ステーキを食べ、帰国して3か月後、肛門周囲から条虫の肉厚の片節が1個ずつ分離して排出され、糞便中で動いていた。
虫体の写真(別冊No.1)を別に示す。
診断として考えられるのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
加熱不十分な牛肉の摂取歴と、肉厚の片節が1個ずつ肛門から出てきて動くという経過が診断の鍵です。
別冊No.1の写真では、乳白色で長方形の厚みのある片節が7〜8個、ばらばらに分離して写っています。
片節は横幅よりも縦の長さが長く、内部に樹枝状の子宮の分枝が透けて見えます。
これは無鉤条虫の受胎片節の特徴です。
【選択肢別解説】
1:× 多包条虫症はエキノコックス症の一つです。
ヒトは虫卵を経口摂取して肝臓に幼虫(多包虫)が寄生する中間宿主で、片節は排出されません。
2:× 単包条虫症もエキノコックス症の一つです。
ヒトの肝臓や肺に包虫嚢胞をつくり、片節は排出されません。
3:○ 無鉤条虫症です。
牛肉の生食で感染し、受胎片節が1個ずつ分離して肛門から自ら這い出るのが特徴です。
写真の厚く長方形の片節の形もこれに一致します。
4:× 有鉤条虫症は牛肉ではなく豚肉の生食で感染します。
片節は数個つながって便とともに排出されることが多く、自ら活発に這い出ることはまれです。
5:× 日本海裂頭条虫症はサクラマスなどの生食で感染します。
片節は縦より横幅が広く、長いひも状の虫体(ストロビラ)として排出されます。
【ポイント】
無鉤条虫は牛肉、有鉤条虫は豚肉、日本海裂頭条虫はマス類と、感染源で区別しましょう。
片節が1個ずつ動いて出てくれば無鉤条虫を考えます。