58 歳の男性。
飲酒後に自宅ソファーで寝てしまい、起床時に右手が動かなくなったことを主訴に受診。
橈骨神経麻痺(高位型)と診断された。
長橈側手根伸筋より遠位の橈骨神経支配の筋はMMT で0 ~1 レベルであった。
1 か月後も自然回復を認めなかったため、上肢装具を作製することになった。
作製する装具で最も適切なのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
高位型の橈骨神経麻痺で、長橈側手根伸筋より遠位の筋(短橈側手根伸筋・総指伸筋・長母指伸筋など)が麻痺した下垂手の症例です。
手関節の背屈と手指MP関節(中手指節関節)の伸展を補い、手指の屈曲(握り)は妨げない装具が必要です。
【選択肢別解説】
1:× 図1は、上腕と前腕をカフで支えて首から吊るアームスリングです。
片麻痺の肩関節亜脱臼などに用いるもので、手関節や手指の伸展は補助できません。
2:× 図2は、台に固定した支柱から前腕をスリングで吊り、食事動作を助ける懸垂型の上肢支持装置です。
肩や肘の近位筋の筋力低下に用いるもので、手関節や手指の伸展は補助できません。
3:× 図3は、前腕から手背までを背側の板で支え、手関節を伸展位に保つ静的な装具(コックアップスプリント)です。
手関節の下垂は防げますが、MP関節の伸展は補助しないため、物を離す動作は改善しません。
4:○ 図4は、前腕のカフから伸びるピアノ線に手関節部のコイルばねを組み込み、基節骨の手掌側にパッド付きのバーを当てた装具です。
ばねの力で手関節を背屈位に、MP関節を伸展位に引き上げます。
手指を握る動きは妨げないので、Oppenheimer型装具として橈骨神経麻痺の下垂手に最も適しています。
5:× 図5は、手背側の2本のパッド付きバーと手掌側のバーで、MP関節を屈曲方向へ押さえる構造の装具です。
尺骨神経麻痺の鷲手に用いるナックルベンダーの形で、MP関節を伸展させる働きはありません。
手関節を支える部分もないため、下垂手には適しません。
【ポイント】
橈骨神経麻痺(下垂手)には、Oppenheimer型やThomas型懸垂装具など、手関節背屈とMP関節伸展を補助する動的装具を用います。
正中神経麻痺(猿手)には対立装具、尺骨神経麻痺(鷲手)にはナックルベンダーなどのMP関節屈曲補助装具が対応します。