74 歳の女性。
6か月前に左被殻出血を発症して、軽度の右片麻痺を呈している。
くしを歯ブラシのように使おうとしたり、スプーンの柄に食物を乗せようとする行動がみられた。
この患者の症状はどれか。
正答1
解説
正解は1です。
くしを歯ブラシのように使う、スプーンの柄に食物を乗せるなど、日常物品の使い方そのものを誤っています。
運動麻痺は軽度で、動作を実行する能力はあるのに、物品の用途や使用手順の概念が障害されている状態です。
【選択肢別解説】
1:○ 観念失行は、実際の物品使用や一連の動作の系列が障害される失行です。
道具の誤使用が典型で、左半球(頭頂葉など)の損傷で生じます。
2:× 構成失行は、図形の模写や積み木の組立てなど、空間的なまとまりを構成できない障害です。
物品の誤使用とは異なります。
3:× 着衣失行は、衣服の上下や裏表、袖の向きなどがわからず着衣ができない障害です。
主に右頭頂葉の損傷で生じます。
4:× 観念運動失行は、物品を使わない身振りやパントマイムが口頭命令や模倣でできない障害です。
実際の物品使用は比較的保たれます。
5:× 肢節運動失行は、手指の巧緻動作が拙劣になる障害です。
物品の用途を誤るのではなく、動作そのものがぎこちなくなります。
【ポイント】
「物を使うと誤る」のが観念失行、「真似や指示による身振りができない」のが観念運動失行と区別します。
いずれも左半球損傷で生じやすく、失語を伴うことが多い症状です。