椅子からの立ち上がり動作を観察したところ、両上肢で大腿前面を支持し、過度に体幹を前傾した状態から殿部離床し、その後体幹を前傾したまま早期に膝関節の伸展が見られた。
最後に体幹を伸展し立ち上がりを終了した。
この間、顕著な姿勢の動揺は認めなかった。
この動作異常が生じている心身機能・身体構造の問題点として最も考えられるのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
立ち上がりでは、体幹の前傾で重心を前に移し、股関節と膝関節を伸ばして体を持ち上げます。
本症例は上肢で大腿を押し、体幹を前に倒したまま膝を先に伸ばしていますが、姿勢の動揺はありません。
【選択肢別解説】
1:× 無動では、動作の開始が遅れたり、動作全体が小さく遅くなったりします。
上肢で大腿を押して体を持ち上げる代償とは異なります。
2:× 片麻痺では、非麻痺側に体重をかけた左右非対称な立ち上がりになります。
本症例では両上肢で両大腿を支えており、左右差の記載もありません。
3:× 運動失調では、立ち上がりの際に体幹や下肢が揺れて姿勢が不安定になります。
本症例は顕著な姿勢の動揺を認めていません。
4:○ 両下肢の筋力が低下すると、股関節と膝関節を同時に伸ばす力が足りません。
そこで上肢で大腿を押して補い、体幹を大きく前傾させて膝伸展の負担を減らします。
膝を先に伸ばし、最後に体幹を起こす本症例の動作はこの代償です。
5:× 股関節の伸展可動域が制限されると、立ち上がった後に体幹を十分に起こせません。
本症例は最後に体幹を伸展して立位を完了しており、該当しません。
【ポイント】
上肢で大腿を押す立ち上がりは、大腿四頭筋や大殿筋の筋力低下を示す代表的な代償動作です。
動作の観察では、左右差、姿勢の動揺、最終肢位の3点から原因を絞り込みます。