36歳の男性。
手にバスケットボールが当たって受傷した。
来院時の手指の写真(別冊No.3A)とエックス線単純写真(別冊No.3B)とを別に示す。
この病態として正しいのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
写真Aは母指で、爪の周囲から指先にかけて皮下出血と腫脹がみられます。
エックス線写真Bでは、末節骨が基節骨に対して掌側へ曲がった位置にあり、IP関節(指先の関節)が伸びていません。
ボールが当たって受傷した経過と合わせると、指先の関節を伸ばせなくなる槌指と判断できます。
【選択肢別解説】
1:○ 槌指は、指先に外力が加わって伸筋腱の付着部が断裂したり、末節骨基部の背側が裂離骨折したりする外傷です。
最も遠位の関節を自分で伸ばせなくなり、写真とエックス線写真の所見に一致します。
2:× ばね指は、屈筋腱と腱鞘の間の炎症(狭窄性腱鞘炎)で、指の曲げ伸ばしの際に引っかかりが生じる病態です。
外傷で急に生じるものではありません。
3:× ボクサー骨折は、拳で物を殴った際に生じる第5(または第4)中手骨頸部の骨折です。
本症例の損傷部位は指先なので該当しません。
4:× ムチランス変形は、関節リウマチなどで骨が高度に吸収され、指が短縮して望遠鏡のように伸び縮みする変形です。
外傷では生じません。
5:× Bennett骨折は、母指の中手骨基部の関節内骨折で、CM関節の脱臼を伴います。
同じ母指でも、本症例の異常は指先のIP関節にあり、中手骨基部ではありません。
【ポイント】
槌指は球技での突き指で起こりやすく、腱性と骨性に分けられます。
腱性は伸展位での装具固定、骨片が大きい骨性は手術が検討されます。