K クリニックに勤務する管理栄養士である。
患者は、48歳、男性。
会社員。
28歳頃から多量の飲酒習慣があり、急性膵炎の既往があった。
脂質異常症はなかった。
6か月前から軽度の腹痛を繰り返していたが、痛みが増強し急性期病院に入院した。
アルコール性慢性膵炎(代償期)の急性増悪と診断され、内科的治療が行われた。
症状は改善し、退院後に当院外来を紹介された。
初回診察時に、患者は「治療を受けてだいぶ元気になりました。お腹が痛くなることがありましたが、今は症状はありません。」と話した。
身長 165 cm、体重 54 kg、BMI 19.8 kg/m2。
空腹時の血液検査値は、血糖 78 mg/dL、HbA1c 6.0%、総コレステロール 168 mg/dL、HDLコレステロール 42 mg/dL、トリグリセリド 135 mg/dL、アミラーゼ 112 U/L(基準値:37~125 U/L)、CRP 0.2 mg/dL。
外来で医師から禁酒を指導されるとともに、外来栄養食事指導の依頼があった。
患者の1日当たりの目標栄養量の組合せとして、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
エネルギー(kcal/日) 脂肪(g/日)
正答4
解説
正解は4です。
アルコール性慢性膵炎の代償期で、急性増悪から回復し、現在は腹痛がありません。
体重54 kg、BMI 19.8でやせ気味のため、十分なエネルギーを確保します。
脂肪は、腹痛がない時期には30〜35 g/日程度に制限します。
【計算】
標準体重 = 1.65 m × 1.65 m × 22 ≒ 59.9 kg
エネルギー = 59.9 kg × 30〜35 kcal/kg ≒ 1,800〜2,100 kcal/日
この範囲に入る選択肢は1,900 kcal/日です。
【選択肢別解説】
1:× 1,300 kcalは必要量より大幅に少なく、やせが進みます。
脂肪10 gは、腹痛が強い時期の厳しい制限量です。
2:× 脂肪30 gは適切ですが、1,300 kcalではエネルギーが不足します。
3:× エネルギー1,900 kcalは適切ですが、腹痛のない時期に脂肪を10 gまで厳しく制限する必要はありません。
必要なエネルギーの確保も難しくなります。
4:○ エネルギー1,900 kcalで必要量を満たし、脂肪30 gで膵臓への刺激を抑えられます。
【ポイント】
慢性膵炎の脂肪制限は、腹痛がある時期は10 g/日程度、症状がない代償期は30〜35 g/日程度が目安です。
非代償期には、消化酵素薬を使いながら脂肪を過度に制限しない方針に変わります。