K 病院の消化器内科病棟に配置されている管理栄養士である。
患者は、75歳、男性。
C 型慢性肝炎で、10年前より通院加療していた。
摂食機能に問題はない。
最近、朝方の全身倦怠感が強くなり受診したところ、精査目的で入院となった。
入院時、身長 165 cm、体重 55 kg、BMI 20.2 kg/m 2。
標準体重 60 kg。
浮腫(-)、腹水(-)。
空腹時の血液検査値は、アルブミン 2.7 g/dL、血糖 90 mg/dL、AST 65 U/L、ALT 50 U/L、アンモニア 65 μg/dL(基準値 30〜80 μg/dL) 。
毎日モニタリングしていたところ、患者との意思疎通が困難となり、患者の食事摂取量は著しく低下してきた。
血液検査値は、アルブミン 2.5 g/dL、血糖92 mg/dL、AST 68 U/L、ALT 52 U/L、アンモニア 106 μg/dL であった。
この状況での栄養管理として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答3
解説
正解は3です。
患者との意思疎通が困難になり、アンモニアが65 μg/dL から106 μg/dL に上昇しています。
肝性脳症を発症したと考えられ、食事摂取量も著しく低下しています。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)を多く含む肝不全用経腸栄養剤で、栄養を補いながらアミノ酸のバランスを整えます。
【選択肢別解説】
1:× 投与エネルギーを減らすと、体たんぱく質の分解が進み、アンモニアがさらに増えます。
食事量が低下している状況では、エネルギーは十分に確保します。
2:× 分割食は、肝硬変で夜間の飢餓を防ぐための方法です。
肝性脳症とアミノ酸バランスの異常への対応にはならず、摂取量の低下も補えません。
3:○ 肝不全用経腸栄養剤は BCAA を多く含み、芳香族アミノ酸を少なくした栄養剤です。
肝性脳症に伴うアミノ酸バランスの乱れを是正し、不足した栄養も補えるので最も適切です。
4:× 本例は摂食機能に問題がなく、消化管も使える状態です。
消化管が使える場合は経腸栄養を優先し、末梢静脈栄養は第一選択ではありません。
【ポイント】
肝性脳症では、血中の BCAA が減り芳香族アミノ酸が増えるため、フィッシャー比(BCAA/芳香族アミノ酸)が低下します。
たんぱく質を制限する場合も、肝不全用経腸栄養剤でたんぱく質とエネルギーを補います。