K 病院に勤務する管理栄養士である。
緊急入院した患者の栄養管理計画を作成している。
患者は、65歳、男性。
独居、60歳で定年後無職である。
普段は 1日に市販弁当 1個程度しか摂っておらず、 1週間前からは体調不良もあり、食事はほとんど摂れていなかった。
ベッドに横になっているところを、訪問した民生委員に発見された。
半年前の体重は 58 kg であった。
身長 172 cm、体重 50 kg、BMI 16.9 kg/m 2、血圧 96/58 mmHg、心拍数 94 回/分。
空腹時血液検査値は、赤血球数 380×10⁴/μL、ヘモグロビン 9.2 g/dL、ヘマトクリット 38%、アルブミン 3.3 g/dL、血糖 81 mg/dL、総コレステロール 90 mg/dL、トリグリセリド 45 mg/dL、尿素窒素 24 mg/dL、クレアチニン 0.45 mg/dL。
明らかな浮腫、腹水、神経学的な異常は認められなかった。
入院時、患者は意識レベルが低く、静脈栄養によって栄養補給を行うことになった。
投与開始時のエネルギー量である。
最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答4
解説
正解は4です。
高度の低栄養状態の患者に静脈栄養を始めるときの、開始時のエネルギー量を問う問題です。
事例では、BMI 16.9 kg/m²、6か月で約13.8%の体重減少があり、1週間ほとんど食事がとれていません。
このような患者に急にエネルギーを投与すると、リフィーディング症候群を起こす危険があります。
【計算】
開始時のエネルギー量=10 kcal×現体重50 kg=500 kcal/日
【選択肢別解説】
1:× 2,000 kcal/日は、開始時の投与量としては多すぎます。
急な糖質の投与でリンやカリウムが細胞内に移り、低リン血症や心不全を起こす危険があります。
2:× 1,500 kcal/日も、開始時の投与量としては多すぎます。
リフィーディング症候群の危険が高い患者では、少量から始める必要があります。
3:× 1,000 kcal/日(20 kcal/kg)も、高リスクの患者の開始量としては多すぎます。
4:○ リフィーディング症候群の危険が高い患者では、10 kcal/kg/日程度の少量から開始します。
500 kcal/日から始め、電解質を確認しながら数日かけて徐々に増やします。
【ポイント】
リフィーディング症候群の代表的な所見は低リン血症です。
投与開始前からビタミンB1を補給し、リン、カリウム、マグネシウムを頻回に確認することも重要です。