K 総合病院に勤務する管理栄養士である。
外来患者の栄養食事指導を行っている。
患者は、70歳、男性。
歩行時の呼吸困難感を主訴に来院した。
精査の結果、中等度に進行した COPD(慢性閉塞性肺疾患)と診断された。
食欲が低下し、この半年間で 5 kg やせた。
20歳から現在まで、40本/日の喫煙歴がある。
身長 160 cm、標準体重 56.3 kg、体重 44 kg。
空腹時血液検査値は、アルブミン3.7 g/dL、尿素窒素 16 mg/dL、クレアチニン 0.5 mg/dL。
基礎代謝量 1,050 kcal/日、 間接熱量計を用いて測定した安静時エネルギー消費量 1,400 kcal/日。
食事摂取不良が続き、 1か月後にやせが進行していたため、経腸栄養剤を補充することにした。
最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答3
解説
正解は3です。
COPDでは、肺から二酸化炭素を十分に排出しにくくなっています。
栄養素によって燃焼時の二酸化炭素の発生量が異なり、その指標が呼吸商です。
呼吸商は糖質で1.0、脂質で約0.7と、脂質の方が二酸化炭素の発生が少ないです。
【選択肢別解説】
1:× 標準タイプは糖質の割合が高く、高脂質タイプより二酸化炭素の発生が多くなります。
本例ではより呼吸の負担が少ない栄養剤が望まれます。
2:× 低脂質の栄養剤は、そのぶん糖質の割合が高くなります。
二酸化炭素の産生が増え、呼吸の負担が大きくなるので不適切です。
3:○ 高脂質の栄養剤は呼吸商が低く、二酸化炭素の産生を抑えられます。
また、少ない量で多くのエネルギーをとれるので、食欲が低下した患者にも適しています。
4:× COPDでは筋たんぱく質の分解が進んでいます。
たんぱく質は制限せず、十分に補給する必要があります。
【ポイント】
COPDで高脂質の栄養剤が選ばれる理由は、呼吸商が低いことと、エネルギー密度が高いことの2点です。
腹部膨満感を避けるため、少量頻回で補給する工夫も大切です。