K 内科クリニックに勤務する管理栄養士である。
居宅療養管理指導を行っている。
患者は、84歳、女性。
約30年前に糖尿病を発症し、現在は 1,200 kcal の食事療法と毎食、食前に即効型インスリンの薬物療法で治療を続けている。
糖尿病網膜症により視力はほとんどないために、87歳の夫が食事を作って食べさせ、一緒に入浴するなど、日常生活のほとんどを介護している。
身長 147 cm、体重 52 kg、血圧 138/94 mmHg。
空腹時血液検査値は、アルブミン 4.0 g/dL、血糖 118 mg/dL、HbA1c 7.1%、トリグリセリド 95 mg/dL、総コレステロール 175 mg/dL、LDL コレステロール 105 mg/dL、HDL コレステロール 48 mg/dL、尿素窒素 16 mg/dL、クレアチニン 0.7 mg/dL。
これまで夕食後 20時ぐらいにお風呂に入っていた。
最近、夫が 19時からの野球中継を観るため、夕食前の 17時にお風呂に入るようになり、風呂上りに低血糖になることがある、と患者から相談された。
これに対するアドバイスである。
最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答2
解説
正解は2です。
入浴すると血流がよくなり、エネルギー消費が増えるうえ、皮下に注射したインスリンの吸収も速まります。
夕食前の空腹の時間帯に入浴するようになったことが、風呂上がりの低血糖の原因と考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 食前にインスリンを使用しているので、自己判断で食事の配分を変えると血糖の変動が大きくなります。
夕食前の入浴による低血糖を防ぐ対策にもなりません。
2:○ 朝食の果物を入浴前の補食に回すと、1日の総エネルギー量を変えずに入浴前に糖質を補えます。
低血糖の予防に有効で、夫婦の生活の変化にも合わせられるので最も適切です。
3:× 入浴時間を短くしても、空腹時に入浴する状況は変わりません。
また入浴は夫が一緒に介助しているので、低血糖を確実に防ぐ対策にはなりません。
4:× 夫に楽しみを我慢させる方法は、介護を担う夫の負担を増やします。
夫婦の生活を尊重し、食事の工夫で対応すべきです。
【ポイント】
インスリン治療中の患者では、運動や入浴の前に低血糖を防ぐ補食を考えます。
補食は1日の指示エネルギー量の中でやりくりするのが原則です。