マンションに関する次の記述のうち、最高裁判所の判決によれば、適切なものはいくつあるか。
ア管理人室と管理事務室が一体として利用することが予定され両室を機能的に分離することができない場合には、管理人室には構造上の独立性があるとしても利用上の独立性はないというべきであるから、管理人室は、区分所有権の目的とはならない。
イ各住戸(専有部分)からの専用排水管(枝管) は、その構造や設置場所いかんにかかわらず、専有部分に属しない建物の附属物であるから、同排水管に起因する水漏れ事故による損害の賠償は、管理組合がその責任を負う。
ウ管理組合法人の規約において、理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等内の親族に限り、これを代理出席させることができる旨を定めることは認められず、当該規約は無効である。
エ管理者が共用部分の管理を行い、特定の区分所有者に当該共用部分を使用させることができる旨の規約の定めがある場合においても、各区分所有者は、当該特定の区分所有者に対し、共用部分の自己の持分割合相当額につき不当利得返還請求権を行使することができる。
正答1
解説
正解は1(適切なものは一つ)。
マンション管理に関する重要な最高裁判決の結論を問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:○ 最判平成5年2月12日は、管理人室と管理事務室が一体として利用されることが予定され、両室が機能的に分離できない場合には、管理人室に構造上の独立性があっても利用上の独立性はなく、区分所有権の目的とはならないとしました。
イ:× 最判平成12年3月21日は、排水管の枝管が階下の住戸の天井裏に設置され、特定の住戸からの点検・修理が困難であったという具体的な構造・設置場所を踏まえて、専有部分に属しない建物の附属物(共用部分)に当たると判断したものです。
「その構造や設置場所いかんにかかわらず」共用部分であるとした判決ではありません。
ウ:× 最判平成2年11月26日は、理事に事故があり理事会に出席できないときに、その配偶者又は一親等の親族に限り代理出席を認める旨の管理組合法人の規約の定めは、違法ではなく有効であるとしました。
「規約は無効である」とする点が誤りです。
エ:× 最判平成27年9月18日は、管理者が共用部分の管理を行い、共用部分を特定の区分所有者に使用させることができる旨の規約の定めがある場合、各区分所有者は、当該特定の区分所有者に対し、自己の持分割合相当額の不当利得返還請求権を行使することができないとしました。
「行使することができる」とする点が誤りです。
よって適切なものはアの一つです。
【ポイント】
排水管判決は「当該事案の構造・設置場所を前提に共用部分とした」判例であり、一般論ではない点に注意しましょう。
代理出席規約は「有効」、共用部分の使用料の不当利得請求は「規約で管理者に委ねていれば各自は行使不可」です。