マンション管理組合総会での議決権行使に関する議長の取扱いについての次の記述のうち、民法、標準管理規約(単棟型)、標準管理規約(団地型)及び標準管理規約(複合用途型)によれば、不適切なものはいくつあるか。
ア2住戸を有する区分所有者が、同一議案について1住戸の議決権は反対し、他の1住戸の議決権は賛成する議決権行使書を提出したので、それらの議決権行使を認めた。
イ団地総会において、当該団地1号棟の組合員Aが当該団地5号棟の組合員Bを代理人とする委任状を提出したので、BによるAの議決権行使を認めた。
ウ全ての議案に「反対」の記載があり、当該区分所有者の署名はなされているが、押印がないため有効な議決権行使書として認めなかった。
エ店舗の営業制限が議題になっているため、当該店舗区分所有者からの委任状を提出した弁護士に、弁護士であることを理由に議決権行使を認めた。
正答3
解説
正解は3(不適切なものは三つ)。
総会における議決権行使の有効性(不統一行使、団地総会の代理人、押印の要否、代理人の資格)についての議長の取扱いを問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:× 2住戸を有する区分所有者は2住戸分の議決権を有しますが、一人の組合員の意思は一つであり、同一議案について一方の住戸で反対・他方の住戸で賛成とする不統一な行使は、意思表示として矛盾しているため認めるべきではないと解されています。
標準管理規約にも議決権の不統一行使を認める規定はなく、「それらの議決権行使を認めた」取扱いは不適切です。
イ:○ 団地型標準管理規約では、組合員が代理人により議決権を行使する場合、代理人は配偶者、一親等の親族、同居する親族又は「他の組合員」等に限られます(標準管理規約(団地型))。
団地総会の組合員は団地内の全建物の区分所有者であり、5号棟の組合員Bも1号棟の組合員Aにとって他の組合員にあたるので、認めた取扱いは適切です。
ウ:× 令和3年改正の標準管理規約では議決権行使書や委任状への押印は求められておらず、区分所有者本人の署名があれば有効な議決権行使書として扱われます。
「押印がないため有効な議決権行使書として認めなかった」取扱いは不適切です。
エ:× 代理人となれるのは、組合員の配偶者(内縁を含む)、一親等の親族、同居する親族又は他の組合員に限られ(標準管理規約46条5項、複合用途型も同旨)、弁護士であることは代理人の資格として規定されていません。
「弁護士であることを理由に議決権行使を認めた」取扱いは不適切です。
よって不適切なものはア・ウ・エの三つです。
【ポイント】
代理人の範囲は「配偶者・一親等の親族・同居の親族・他の組合員」で、弁護士等の専門家は規約に定めがない限り認められません。
令和3年改正で議決権行使書等の「押印」は不要になった点も押さえましょう。