Aは、自己の所有するマンション(マンション管理適正化法第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。) の一住戸甲(以下、本問において「甲」 という。) をBに贈与する契約を締結した。
この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
正答1
解説
正解は1。
贈与契約における贈与者の担保責任、死因贈与の撤回、書面によらない贈与の撤回制限、負担付贈与と同時履行を問う問題です(出題当時の民法による)。
【選択肢別解説】
1:× 出題当時の民法551条1項は、贈与者は目的物の瑕疵について原則として責任を負わないとしつつ、「贈与者がその瑕疵を知りながら受贈者に告げなかったとき」は責任を負うと定めていました。
したがって、Aが瑕疵を知っていた場合でも責任を負わないとする点が誤りです。
無償契約であることだけを理由に、知っていた瑕疵の責任まで免れるわけではありません。
※現行法(2020年4月施行)では、贈与者は贈与の目的として特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定される(民法551条1項)という構成に改められています。
2:○ 死因贈与には遺贈に関する規定が準用され(民法554条)、判例は遺言の撤回に関する規定(民法1022条)も準用されるとしています。
書面による死因贈与であっても、贈与者はいつでも撤回することができます(最判昭和47年5月25日)。
3:○ 書面によらない贈与は各当事者が撤回できますが、履行の終わった部分は撤回できません(出題当時の民法550条)。
判例は、不動産の贈与では引渡しがあれば、所有権移転登記がなくても「履行が終わった」と解しています。
※現行法では「撤回」は「解除」という用語に改められています。
4:○ 負担付贈与には、その性質に反しない限り双務契約に関する規定が準用されます(民法553条)。
そのため同時履行の抗弁権(民法533条)により、Bが扶養を始めない限り、Aは甲の引渡しを拒むことができます。
【ポイント】
贈与者も「知りながら告げなかった瑕疵」には責任を負う、という例外が狙われています。
不動産の口頭贈与は「引渡し」か「登記」のどちらかがあれば履行済みとなり撤回できない、と整理しておきましょう。