Aが所有するマンションの専有部分甲(以下、本問において「甲」 という。) を賃借するBが、第三者であるCに、当該賃借権を譲渡又は甲を転貸した場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法(平成3年法律第90号) の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
正答1
解説
正解は1。
賃借権の譲渡・転貸について、転借人の直接義務、債務不履行解除と転借人、背信的行為論、借地借家法の代諾許可の適用範囲を問う問題です。
【選択肢別解説】
1:○ 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負います。
その範囲は賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲が限度なので、AはBに対する賃料額を限度にCから支払いを受けられます。
根拠:民法613条1項。
2:× 賃貸借が賃借人の債務不履行により解除された場合、賃貸人は転借人に対して賃料支払いの催告をして弁済の機会を与える必要はなく、解除をもって転借人に対抗できるとするのが判例です。
3:× 無断譲渡・無断転貸であっても、それが賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は解除できないとするのが判例(信頼関係破壊の法理)です。
根拠:民法612条2項と判例。
4:× 賃貸人の承諾に代わる裁判所の許可(代諾許可)は、借地権(建物所有目的の土地の賃借権)の譲渡・転貸についての制度です。
本問はマンションの専有部分(建物)の賃貸借なので、この制度はありません。
根拠:借地借家法19条。
【ポイント】
転借人の直接義務は「原賃料と転貸料の低い方」が限度です。
合意解除は転借人に対抗できないが、債務不履行解除は催告不要で対抗できる、という対比も頻出です。