〔事例〕
Jさん(75歳、男性)は先天性の全盲である。
これまで自宅で自立した生活をしてきたが、最近、心身機能の衰えを感じて、有料老人ホームに入居した。
施設での生活にまだ慣れていないので、移動は介護福祉職に誘導してもらっている。
ある日、介護福祉職がJさんを自室まで誘導したときに、「いつも手伝ってもらってすみません。なかなか場所を覚えられなくて。私はここでやっていけるでしょうか」と話してきた。
Jさんの発言への介護福祉職の共感的理解を示す対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
正答4
解説
正解は4です。
共感的理解を示す応答技法を問う問題です。
Jさんは「いつも手伝ってもらってすみません」「私はここでやっていけるでしょうか」と話しており、申し訳なさと新しい生活への不安を抱えています。
共感的理解とは、相手の立場に立ってその感情を感じ取り、それを言葉にして返すことです。
【選択肢別解説】
1:× うなずきは、話を聴いていることを示す技法です。
全盲のJさんには見えないうえ、感情を理解したことを伝えるには不十分です。
2:× 沈黙は、相手が考えをまとめるのを待つための技法です。
発言のあとに黙るだけでは、Jさんの不安に共感していることは伝わりません。
3:× 話の内容を短くまとめるのは、要約の技法です。
話の内容の確認にはなりますが、感情に焦点を当てた共感の表明ではありません。
4:○ Jさんの立場に立って感情を推し測り、言葉で伝えるのが共感的理解を示す対応です。
例えば「慣れない場所で不安なのですね」と返すことで、気持ちをわかってもらえたとJさんが感じられます。
5:× 励ましは、Jさんの不安を受け止める前に気持ちを変えようとする対応です。
不安を否定されたと感じさせるおそれがあります。
【ポイント】
共感は「相手の感情を感じ取る」だけでなく「それを言葉で相手に伝える」ことで完成します。
視覚障害のある人には、うなずきなどの非言語の反応が伝わらないため、言葉での応答が特に重要です。