20 歳の男性。
体操部に所属している。
つり輪の練習中に左肩部に痛みを自覚した。
肩関節の挙上は違和感はあるが可能である。
肩前方の短軸超音波画像(別冊 No. 7)を別に示す。
考えられるのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
体操のつり輪で肩前方に痛みが出ており、肩の挙上は可能です。
超音波画像は、肩前面で上腕骨の結節間溝を横断した短軸像です。
健側では、大結節と小結節の間のくぼみ(結節間溝)の中に、上腕二頭筋長頭腱が輪郭のはっきりした楕円形の像として写っています。
患側では、溝の中の腱の輪郭が不明瞭で、周囲との境界がぼやけ、腱の腫大や輝度の低下を思わせる像になっています。
いずれも大結節・小結節の骨表面は滑らかで、骨の欠損や陥没はみられません。
【選択肢別解説】
1:○ 上腕二頭筋長頭腱炎が考えられます。
つり輪のように肩に強い負荷を繰り返すと、結節間溝の中で長頭腱がこすれて炎症を起こします。
画像で溝内の腱の像が健側と異なることが根拠です。
2:× ベネット損傷は、投球動作で関節窩の後下縁に骨棘ができる障害です。
肩後方の痛みが主体で、肩前方の結節間溝の画像所見とは関係しません。
3:× バンカート損傷は、肩関節前方脱臼で前下方の関節唇が関節窩から剥がれる損傷です。
脱臼の既往がなく、結節間溝の短軸像で評価する損傷でもありません。
4:× ヒル・サックス損傷は、肩関節前方脱臼の際に上腕骨頭の後外側が関節窩前縁にぶつかってできる陥没骨折です。
脱臼の既往がなく、画像でも骨表面の陥没はみられません。
【ポイント】
上腕二頭筋長頭腱炎は結節間溝部の圧痛と、ヤーガソンテスト・スピードテスト陽性が特徴です。
超音波では必ず健側と比べて、腱の太さや輝度、周囲の液体貯留を確認します。