39歳の男性。
マラソンが趣味である。
左大腿の筋肉痛で、図に示す締め付け圧が調整できるサポーターを装着して練習をしていた。
強く締めたほうが効果があると感じ、できるだけ強めに締めていたところ、膝内側の疼痛と下腿内側の違和感が生じてきた。
考えられるのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
図には、大腿部の遠位約半分、膝のすぐ上までを覆う幅の広い帯状のサポーターが描かれています。
このサポーターを強く締めすぎた結果、膝内側の疼痛と下腿内側の違和感が生じた症例です。
大腿遠位内側の内転筋管(ハンター管)を通る伏在神経が、外から圧迫された病態が考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 滑膜ヒダ障害(タナ障害)は、膝の屈伸の繰り返しで滑膜ヒダが大腿骨と膝蓋骨の間に挟まれて起こります。
膝内側の痛みは出ても、下腿内側の感覚の異常は説明できません。
2:× 膝蓋軟骨軟化症は、膝蓋骨の関節軟骨が変性する疾患で、膝の前面の痛みが主症状です。
下腿内側の違和感とは関係しません。
3:× 内側半月板損傷は、膝のひねりなどで起こり、関節裂隙の圧痛や引っかかり感、ロッキングを伴います。
サポーターの締めすぎで生じる損傷ではなく、下腿内側の感覚異常も説明できません。
4:○ 伏在神経は内転筋管を通ったあと、膝内側から下腿内側の皮膚の感覚を支配します。
図のサポーターはちょうど内転筋管の部位を覆っており、強い締め付けで神経が圧迫されると膝内側痛と下腿内側の違和感が生じます。
【ポイント】
伏在神経は大腿神経の感覚枝で、運動麻痺は起こさず、膝内側から下腿内側、足の内側縁の感覚障害を起こします。
装具やサポーターによる神経の圧迫は、腓骨頭部での腓骨神経麻痺とともに注意が必要です。