31歳の男性。
空手の稽古中、試し割りで板を拳で突いた際に受傷した。
第2MP 関節付近に強い疼痛と腫脹を認め、拳を握ると疼痛が増強する。
単純エックス線写真(別冊 No.3)を別に示す。
この疾患で適切でないのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
この問題は適切でないものを選ぶので、○ が答え(適切でない記述)です。
拳で物を強く突いて第2MP関節付近に疼痛・腫脹があり、エックス線写真では第2中手骨の頸部で骨折し、骨頭が掌側へ傾いて背側凸の屈曲変形を示しています。
これは中手骨頸部骨折(いわゆるボクサー骨折)です。
【選択肢別解説】
1:× 転位に骨間筋と虫様筋が作用するという記述は適切です。
骨間筋と虫様筋はMP関節の掌側を通るため、収縮すると骨頭を掌側へ引き込みます。
その結果、骨折部は背側凸に屈曲転位します。
2:○ 側副靱帯を弛緩させると整復が容易になるという記述は適切ではありません。
MP関節の側副靱帯は、伸展位で弛緩し屈曲位で緊張します。
整復ではMP関節を90度屈曲して側副靱帯を緊張させ、基節骨を介して骨頭を背側へ押し上げます。
靱帯を緊張させることで骨頭を操作しやすくなるので、弛緩させるのは逆です。
3:× 屈曲変形が残存すると伸展障害を起こすという記述は適切です。
骨頭が掌側へ傾いたまま癒合すると、中手骨が見かけ上短くなります。
その分だけ伸筋腱が相対的にゆるみ、MP関節を伸ばし切れない伸展不全が残ります。
4:× オーバーラッピングフィンガーに注意するという記述は適切です。
回旋転位が残ると、指を握ったときにその指が隣の指に重なります。
整復・固定ではMP関節屈曲位で指の向きが舟状骨結節を向くかを確認します。
【ポイント】
中手骨頸部骨折は「背側凸変形・骨間筋と虫様筋による転位・MP関節屈曲位での整復」が要点です。
MP関節の側副靱帯は屈曲位で緊張するため、固定もMP関節屈曲位で行い拘縮を防ぎます。