15歳の男子。
陸上 100 m 走でスタートと同時に左股関節に疼痛が生じた。
単純エックス線写真(別冊 No.4)を別に示す。
膝屈曲位で制限される股関節運動はどれか。
正答1
解説
正解は1です。
15歳の短距離選手がスタートと同時に股関節痛を生じており、骨盤の筋付着部の裂離骨折が考えられます。
エックス線写真では、左側の上前腸骨棘付近で骨片が腸骨から分離している像がみられ、上前腸骨棘裂離骨折と判断できます。
上前腸骨棘には縫工筋と大腿筋膜張筋が付着し、急激な収縮で骨端部が引き剥がされます。
【選択肢別解説】
1:○ 膝屈曲位で制限されるのは股関節の屈曲・外転・外旋です。
縫工筋は股関節の屈曲・外転・外旋と膝関節の屈曲に働く二関節筋です。
膝を曲げたまま股関節を屈曲・外転・外旋する動作は縫工筋の作用そのもので、強い収縮が裂離部を引っ張るため疼痛で制限されます。
2:× 屈曲・内転・内旋は縫工筋の作用の組合せではありません。
内転と内旋は縫工筋の外転・外旋作用と逆方向で、この運動では縫工筋は強く収縮しません。
3:× 伸展・外転・外旋は制限される運動の組合せとして誤りです。
伸展は縫工筋の屈曲作用と逆方向であり、縫工筋の収縮による運動の組合せになっていません。
4:× 伸展・内転・内旋は縫工筋を伸張する方向ですが、膝屈曲位では制限の主体になりません。
縫工筋は膝の屈筋でもあるため、膝屈曲位では膝側で弛緩し、伸張による痛みは出にくくなります。
【ポイント】
上前腸骨棘は縫工筋・大腿筋膜張筋、下前腸骨棘は大腿直筋、坐骨結節はハムストリングスの付着部と対応させます。
裂離骨折では、付着する筋が収縮する運動や伸張される運動で疼痛が生じることを押さえます。