45 歳の男性。
2 か月前に右手を衝き転倒した。
前腕部の脱臼骨折に対してギプス固定にて加療された。
その後、痛みや感覚の障害はないが、指が伸びないと来所した。
MP 関節は伸展できないが、手関節は背屈可能であった。
考えられるのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
前腕の脱臼骨折後に、感覚障害を伴わず MP 関節(中手指節関節)の伸展だけができなくなった症例です。
手関節の背屈は可能であることから、橈骨神経の深枝である後骨間神経の障害が考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 前骨間神経障害では指の伸展障害は起こりません。
前骨間神経は長母指屈筋や示指の深指屈筋を支配するため、障害されると母指 IP 関節と示指 DIP 関節の屈曲ができなくなります。
指を伸ばせないという本例の症状とは異なります。
2:× 尺骨神経障害による鷲手変形ではありません。
鷲手では環指・小指の MP 関節が過伸展し、IP 関節が屈曲します。
MP 関節が伸展できないという本例とは逆の所見であり、さらに小指の感覚障害を伴います。
3:× ギプスによる手指屈曲拘縮ではありません。
拘縮は関節そのものの動きが悪くなる状態です。
手関節の背屈は保たれ、MP 関節の伸展だけが選択的に障害されるという神経支配に沿った所見とは一致しません。
4:○ 橈骨頭による後骨間神経障害が考えられます。
前腕の脱臼骨折で橈骨頭が脱臼するモンテジア骨折では、橈骨頭の近くを通る後骨間神経が損傷されやすくなります。
後骨間神経は指の伸筋群を支配する運動枝で、感覚枝を含みません。
手関節を背屈させる長橈側手根伸筋は分岐前の橈骨神経に支配されるため、手関節背屈は保たれます。
【ポイント】
橈骨神経の高位麻痺は下垂手(手関節も背屈不能)、後骨間神経麻痺は下垂指(手関節背屈は可能)と区別して覚えましょう。