75 歳の女性。
自宅の庭で転倒し受傷した。
来所時左肩周辺の疼痛を訴え、上肢の挙上不能であった。
なお、骨粗鬆症により円背がみられる。
単純エックス線写真(別冊 No. 1)を別に示す。
治療方針で適切なのはどれか。
2つ選べ。
正解を2つ選んでください。
正答2・4
解説
正解は2と4です。
単純エックス線写真では、上腕骨の外科頸の高さに骨折線を認めます。
骨幹部の外側皮質に段差があるものの、骨頭と骨幹部はかみ合っており、大きな転位はみられません。
高齢で骨粗鬆症のある女性の転倒による、上腕骨外科頸骨折(嵌入骨折)と考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 積極的な徒手整復は適切ではありません。
骨片同士がかみ合った嵌入骨折は比較的安定しており、無理に整復すると嵌入が外れて不安定になります。
骨粗鬆症の高齢者では、多少の変形が残っても肩の機能は保たれることが多いためです。
2:○ 4週間程度、患肢を体幹に固定します。
高齢者の外科頸骨折では、三角巾と胸部の固定帯などで患肢を体幹に固定して安静を保ちます。
長期の固定は肩の拘縮を招くため、固定期間は4週程度にとどめます。
3:× ハンギングキャストの適応ではありません。
ハンギングキャストはギプスの重さで骨片を牽引する方法で、主に転位のある上腕骨骨幹部骨折に用います。
嵌入した外科頸骨折に用いると、嵌入が外れたり骨片が離開したりするおそれがあります。
4:○ 固定除去後はコッドマン体操が有効です。
コッドマン体操は、体を前に傾けて腕を垂らし、振り子のように揺らす運動です。
筋力をほとんど使わずに肩を動かせるため、拘縮の予防と可動域の回復に役立ちます。
【ポイント】
高齢者の上腕骨外科頸骨折は「嵌入なら整復せず早期運動」が原則です。
肩関節は拘縮しやすいので、固定中から手指や肘の運動を行い、早めに振り子運動へ移ります。