70 歳の男性。
40 km/時で乗用車を運転中、前方からの軽自動車のはみ出し走行により正面衝突し、ハンドルで前胸部を強打した。
救急搬入時、前胸部痛、頻脈、血圧低下を認めた。
最も損傷の可能性が高い臓器はどれか。
正答1
解説
正解は1です。
乗用車の正面衝突でハンドルに前胸部を強打した症例です。
前胸部痛に加え、頻脈と血圧低下というショックの徴候があり、胸腔内の大血管からの出血が疑われます。
【選択肢別解説】
1:○ 最も損傷の可能性が高い臓器は大動脈です。
急な減速により、固定された部分と動きやすい部分の境目である大動脈峡部(左鎖骨下動脈の分岐部の直後)に強い力が加わり、裂けやすくなります。
大動脈が損傷すると大量に出血し、頻脈と血圧低下をきたします。
2:× 肺静脈は、本例で最も損傷の可能性が高い臓器ではありません。
肺静脈の単独損傷はまれで、ハンドル外傷の典型的な損傷部位ではありません。
3:× 横隔膜は、本例で最も損傷の可能性が高い臓器ではありません。
横隔膜損傷は腹部への強い圧迫で起こることが多く、腹部臓器が胸腔内に脱出することがあります。
4:× 肝臓は、本例で最も損傷の可能性が高い臓器ではありません。
肝損傷は右季肋部や上腹部への外力で起こりやすく、本例は前胸部の強打です。
【ポイント】
ハンドル外傷では、胸骨骨折、心挫傷、大動脈損傷、肺挫傷などが起こります。
減速外傷による大動脈損傷は大動脈峡部に好発すると覚えましょう。