A ちゃん(男児)は全身性エリテマトーデスを合併した母から在胎 36 週 2 日に頭位正常分娩で出生した。
出生体重は 2,510 g であった。
生後 1 分の時点で A ちゃんの筋緊張は軽度減弱し、皮膚刺激によってわずかに四肢を動かす様子が認められた。
呼吸は浅く不規則で、全身にチアノーゼを認め、心拍数は 70/分であった。
日齢 3 。
臍帯血を用いた血液検査で抗 SS‑A 抗体は陽性であった。
体温は 37.3 ℃、心拍数は 130/分であった。
日齢 2 に便色は黒緑色から黄褐色に変化した。
現時点で留意すべき疾患はどれか。
正答4
解説
正解は4です。
A ちゃんの母親は全身性エリテマトーデスを合併しており、臍帯血の検査で抗SS-A抗体が陽性でした。
抗SS-A抗体は胎盤を通過して胎児の心臓の刺激伝導系を傷つけ、先天性房室ブロックを起こすことがあります。
【選択肢別解説】
1:× 胆道閉鎖症では、灰白色の便がみられます。
A ちゃんの便は日齢2に黒緑色から黄褐色へ変わっており、正常な経過です。
2:× 新生児感染症を疑う所見はありません。
体温37.3℃は新生児の正常範囲で、哺乳不良や活気の低下などの記載もありません。
3:× 頻脈性不整脈ではありません。
心拍数130/分は新生児の正常範囲です。
4:○ 抗SS-A抗体が陽性の母親から生まれた児では、新生児ループスの一つとして先天性房室ブロックに留意します。
現在の心拍数は正常でも、心電図で伝導障害がないかを確認する必要があります。
【ポイント】
新生児ループスでは、房室ブロックのほかに、顔面の環状紅斑、肝機能障害、血球減少がみられることがあります。
皮膚症状などは母体からの抗体が消えると改善しますが、完全房室ブロックは不可逆で、ペースメーカーが必要になることがあります。