A さん(39 歳、初産婦)は、妊娠 28 週時の妊婦健康診査にて羊水が多いことを指摘され、妊娠 29 週 0 日に総合周産期母子医療センターである B 病院を紹介受診した。
超音波検査にて推定胎児体重は 1,150 g(−1.2 SD)、AFI 32 cm、小脳低形成、先天性心疾患、食道閉鎖症の疑いなどの所見が認められた。
A さんは、胎児に染色体異常がある可能性について担当医師から説明を受け、出生前検査を希望した。
A さんは、妊娠 33 週 0 日の妊婦健康診査にて「息苦しくて横になれない。食べても吐いてしまう。お腹の張りが頻回にある」と訴え、入院管理となった。
超音波検査にて推定胎児体重は 1,630 g (−1.5 SD)、AFI 45 cm、子宮頸管長 33 mm である。
胎児心拍数陣痛図は、胎児心拍数基線 140 bpm、基線細変動 10 bpm、一過性頻脈を認め、一過性徐脈を認めない。
子宮収縮を不規則に認める。
A さんへの治療で正しいのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
妊娠33週で、AFI(羊水指数)45cmと高度の羊水過多となり、息苦しくて横になれない、食べても吐く、お腹の張りが頻回という症状がある妊婦です。
子宮頸管長は33mmで、胎児心拍数陣痛図は良好(基線140bpm、細変動あり、一過性頻脈あり、一過性徐脈なし)です。
【選択肢別解説】
1:○ 羊水除去は、経腹的に羊水を抜いて子宮の過伸展を和らげる治療です。
横隔膜の圧迫による呼吸困難や消化器症状を改善し、子宮収縮による早産を防ぐ効果も期待できます。
2:× 息苦しさは、子宮の過伸展による横隔膜の圧迫が原因です。
酸素投与では原因が解決せず、症状の改善は限られます。
3:× 利尿薬は母体の循環血液量を減らすだけで、羊水量は減りません。
胎盤血流の低下を招くおそれもあり、羊水過多の治療には用いません。
4:× 子宮収縮は子宮の過伸展によって起きています。
子宮頸管長は保たれており、子宮収縮抑制薬だけでは呼吸困難などの症状を解決できません。
【ポイント】
羊水過多はAFI 24cm以上または最大羊水深度8cm以上で、原因には胎児の嚥下障害(食道閉鎖など)や母体の糖尿病があります。
羊水除去の後は、急激な子宮内圧の低下による常位胎盤早期剝離に注意します。