A さん(21 歳、大学生、未婚)は腹痛を主訴に救急外来を受診した。
A さんの意識は清明で、体温 38.0 ℃、脈拍 85/分、整、血圧 118/78 mmHg であった。
診察の結果、A さんは陣痛発来しており、内診所見では既に破水しており、子宮口全開大、 Station +2 であった。
児は頭位で推定体重は 3,000 g。
A さんは 1 人暮らしで、特定のパートナーはおらず妊娠の自覚もなく、 1 年以上病院への受診歴はない。
HIV 抗体陰性、HBs 抗原陰性、HCV 抗体陽性、梅毒スクリーニング検査陰性、新型コロナウイルス〈SARS‑CoV‑2〉 PCR 検査陰性、胸部エックス線写真で肺野に異常陰影は認められない。
出生後の児への母子感染予防対策で適切なのはどれか。
正答5
解説
正解は5です。
Aさんの感染症検査では、HCV抗体のみが陽性です。
C型肝炎ウイルス(HCV)の母子感染の多くは分娩時に起こり、児への感染率は数%程度とされます。
B型肝炎と異なり、HCVには出生後の児に行うワクチンや免疫グロブリンによる予防法がありません。
【選択肢別解説】
1:× HCVに対するワクチンはありません。
出生後にワクチンを接種するのは、HBs抗原陽性の母親から生まれた児の場合です。
2:× 出生後の児に抗ウイルス薬を内服させる予防法はありません。
HCVの母子感染予防として、新生児への抗ウイルス薬の投与は行いません。
3:× 早期母子接触を中止する必要はありません。
皮膚の接触でHCVが感染することはなく、母子の愛着形成の機会を保ちます。
4:× 特異的ヒト免疫グロブリン製剤の筋肉内注射は、B型肝炎の母子感染予防に用いる方法です。
HCVに対する免疫グロブリン製剤はありません。
5:○ 乳頭から出血している場合に授乳を中止するのが適切です。
HCVは母乳による感染はまれとされ、授乳は可能ですが、乳頭の亀裂や出血がある場合は血液を介した感染を避けるため一時的に中止します。
【ポイント】
HCV抗体陽性は過去の感染も含むため、HCV-RNA検査でウイルスの有無を確認します。
児は生後一定期間をあけてHCV-RNAや抗体を検査し、感染の有無を判断します。