A さん(21 歳、大学生、未婚)は腹痛を主訴に救急外来を受診した。
A さんの意識は清明で、体温 38.0 ℃、脈拍 85/分、整、血圧 118/78 mmHg であった。
診察の結果、A さんは陣痛発来しており、内診所見では既に破水しており、子宮口全開大、 Station +2 であった。
児は頭位で推定体重は 3,000 g。
A さんは 1 人暮らしで、特定のパートナーはおらず妊娠の自覚もなく、 1 年以上病院への受診歴はない。
HIV 抗体陰性、HBs 抗原陰性、HCV 抗体陽性、梅毒スクリーニング検査陰性、新型コロナウイルス〈SARS‑CoV‑2〉 PCR 検査陰性、胸部エックス線写真で肺野に異常陰影は認められない。
A さんは男児を出産した。
出生体重 3,150 g、Apgar〈アプガー〉スコア 1 分後 8 点、 5 分後 9 点。
Dubowitz 法による新生児成熟度評価で在胎週数は 39 週 3 日だった。
日齢 3 、A さんから「この子はかわいいけど私が育てられるとは思えない。夜も 1 回 1 時間も寝ないですぐに泣き、授乳時も 30 分以上おっぱいを吸っていて、時間がかかり大変だ」という訴えが聞かれた。
この日の児の体重は 2,770 g (前日比 −70 g)、活気はあり、吸啜はしっかりしている。
昨日の排尿回数は 3 回、排便回数は 2 回であった。
A さんと児への支援で最も適切なのはどれか。
正答5
解説
正解は5です。
児の体重は出生時3,150gから日齢3に2,770gとなり、380g減少しています。
減少率は約12%で、生理的体重減少の目安である10%を超えています。
昨日の排尿は3回と少なく、頻回に長く吸っても十分な母乳を飲めていないと考えられます。
【計算】
体重減少率=(出生体重−現在の体重)÷出生体重×100です。
(3,150g−2,770g)÷3,150g×100=380÷3,150×100です。
≒12.1%となり、10%を超えています。
【選択肢別解説】
1:× おしゃぶりの使用は適切ではありません。
児が泣くのは空腹によると考えられ、おしゃぶりでは栄養不足は解決せず、授乳の機会を減らすおそれがあります。
2:× 母子分離を勧めるのは適切ではありません。
母親の育児への自信をさらに失わせ、母子関係の形成を妨げるおそれがあります。
3:× 母乳栄養を中止する必要はありません。
HCV抗体陽性でも授乳は可能であり、母乳育児を続けながら不足分を補います。
4:× 搾乳して与えても、母乳の分泌量自体が不足しているため、栄養の不足は解決しません。
母親の負担も増えます。
5:○ 母乳を飲ませたあとに人工乳を追加するのが最も適切です。
児の体重減少を食い止めながら、直接授乳を続けることで母乳分泌も促すことができます。
【ポイント】
生理的体重減少は出生体重の5〜10%程度で、生後3〜5日ころに最も減少し、7〜14日ころまでに出生体重に戻ります。
母親の「育てられるとは思えない」という訴えにも寄り添い、継続的な支援につなげます。