A さん(37 歳、初産婦)は身長 155 cm、非妊時体重 48 kg で妊娠経過は順調であった。
13 時に陣痛発来し、15 時に夫に付き添われて入院した。
入院時、内診所見は子宮口 3 cm 開大、展退度 60 %、Station −3、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央、矢状縫合は横径に一致し、小泉門は 3 時の方向に触れ、未破水である。
陣痛間欠 5 〜 6 分、陣痛発作 30 秒。
胎児心拍数基線は 145 bpm であった。
陣痛開始から 14 時間経過し、陣痛間欠は 2 分、陣痛発作は 50 秒になった。
子宮収縮に伴い、最下点 90〜100 bpm の一過性徐脈が出現し始めた。
このときの内診所見は、子宮口全開大、Station +3、陰裂や肛門の哆開はない。
小泉門が先進し矢状縫合は縦径に一致している。
A さんは「おしりが押される感じです」と言いながら、陣痛発作時は深呼吸で乗りきっている。
このときの助産師の対応で適切なのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
子宮口は全開大しStation +3で、矢状縫合が縦径に一致し、内回旋は完了しています。
一方で陰裂や肛門の哆開はなく、産婦は深呼吸で陣痛をのがせており、強い努責感はまだありません。
子宮収縮に伴う一過性徐脈は最下点90〜100bpmで、児頭の圧迫による反応と考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 一過性徐脈は最下点90〜100bpmと軽度で、胎児機能不全を示す所見はありません。
急速遂娩の適応ではありません。
2:× 短息呼吸は、児頭の発露時など努責を抑える必要がある場面で用います。
今はまだ努責を止める段階ではありません。
3:○ 産婦は深呼吸で陣痛を乗りきれており、肛門の哆開もなく強い努責感はまだありません。
児頭は自然に下降しているため、深呼吸を続けてもらい、自然な努責感が強まるのを待ちます。
4:× Valsalva(バルサルバ)法は、声門を閉じて長く強くいきませる方法です。
胎児への酸素供給を減らし、母体の疲労も大きいため、努責感が十分でない時期に誘導するのは適切ではありません。
【ポイント】
分娩第2期の努責は、子宮口全開大だけで始めるのではなく、産婦の自然な努責感に合わせて行うのが基本です。
「排臨までは自然な努責に任せ、発露時は短息呼吸で努責を抑える」と覚えます。