A さん(40 歳、初産婦)は産婦人科病院で妊婦健康診査を受けていた。
妊娠32週までの妊娠経過に異常はなかった。
妊娠36週以降に血圧の上昇傾向があり、妊娠37週から尿蛋白が確認されたため、妊娠 38 週2日に入院して分娩誘発の予定となった。
妊娠34週から妊娠38週の妊婦健康診査のデータを表に示す。
妊娠週日 血圧(mmHg) 尿蛋白(試験紙) 子宮口の状態 胎児推定体重(g) 羊水量
34 週2日 130/78 − 子宮口:閉鎖、展退度:30 %未満 2,150 正常
36 週3日 137/89 ± 子宮口:閉鎖、展退度:30 %未満 2,380 正常
37 週2日 135/87 + 子宮口:1.5 cm開大、展退度:40 % 2,450 少ない
38 週1日 143/91 + 子宮口:2 cm開大、展退度:40 % 2,580 少ない
分娩誘発に関する A さんへの説明で正しいのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
Aさんは妊娠36週以降に血圧が上がり、37週から尿蛋白も陽性で、妊娠高血圧腎症と考えられます。
妊娠38週1日の時点で子宮口は2 cm開大、展退度40%で、頸管はまだ十分に熟化していません。
【選択肢別解説】
1:× 歩行は陣痛を促す確実な方法ではなく、分娩誘発の方法には含まれません。
血圧が上がっている状態で活動を増やすことも勧められません。
2:× 頸管が熟化していない段階で陣痛前に人工破膜を行うと、陣痛が来ないまま感染のリスクが高まります。
羊水量も少なく、臍帯圧迫も起こりやすくなります。
3:○ 頸管が未熟なため、まずメトロイリンテル(バルーン)やラミナリアなどで子宮口を開き、頸管の熟化を促す処置を行います。
熟化が進んでから子宮収縮薬を使うと、誘発が成功しやすくなります。
4:× 子宮収縮薬(オキシトシン)は少量から開始し、陣痛の状態を見ながら少しずつ増量します。
最大量で開始すると過強陣痛や胎児機能不全を起こす危険があります。
5:× 分娩誘発中は、処置の開始時から分娩監視装置で胎児心拍数と子宮収縮を連続して監視します。
陣痛が強くなってから装着するのでは遅すぎます。
【ポイント】
分娩誘発は「頸管の熟化、子宮収縮薬の少量からの投与、連続した胎児心拍数モニタリング」が基本です。
頸管の熟化の程度はBishopスコアで評価します。