A さん(34 歳、男性、会社員)は、妻(30 歳)と長女(生後 7 か月)の 3 人暮らしである。
妻と長女が乳児健康相談のため保健センターに来所した。
妻から「夫が毎日 20 本以上喫煙しています。子どもへの影響が心配です」と保健師に相談があった。
面談の中で、A さんは「私は父を尊敬していて、父のタバコを吸う姿にも憧れているのだと思います。父はがん検診を毎年受けていますが問題はなく、そんな父の息子ですから私も大丈夫です」と保健師に話した。
自宅では換気扇の下、職場では喫煙ルームで喫煙しているとのことだった。
A さん家族と保健師の関係をエコマップに示す。
A さんの禁煙に向けた働きかけで最も適切なのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
エコマップでは、Aさん(34歳)は父親(64歳)、妻(30歳)、長女(7か月)と強い関係性で結ばれ、母親(62歳)とは中程度、保健師とは弱い関係性で示されています。
Aさんは喫煙する父親に憧れており、「父の息子だから私も大丈夫」と、自分が病気になる可能性(脆弱性)を低く見積もっています。
また、自宅の換気扇の下で喫煙しており、長女が受動喫煙にさらされている状況です。
【選択肢別解説】
1:× 妻から禁煙外来を勧めるのは、現時点で最も適切とはいえません。
Aさんはまだ禁煙の必要性を感じていないため、治療の方法を示しても受け入れられにくいです。
2:× 父親から禁煙のメリットを説明するのは適切ではありません。
父親は強い関係性にありますが、自身が40年以上喫煙を続けており、Aさんの喫煙を後押ししている存在です。
3:× 母親から肺がんの恐ろしさを説明するのは適切ではありません。
母親との関係性は中程度であり、また「父は検診で問題がない」と考えるAさんには、本人の病気の恐ろしさを強調しても響きにくいです。
4:○ 妻から長女の健康被害を説明することが、最も適切な働きかけです。
妻と長女はいずれもAさんと強い関係性にあり、大切な長女への害は、自分の健康とは別の問題として受け止めやすいです。
換気扇の下での喫煙でも長女が受動喫煙にさらされることを伝えれば、禁煙の動機づけにつながります。
5:× 保健師からエビデンスに基づいて説明するのは、最も適切とはいえません。
保健師との関係性は弱く、一般的な情報では、自分は大丈夫と考えているAさんの考えを変えにくいです。
【ポイント】
エコマップで関係性が強く、かつ本人の価値観に響く人を通じて働きかけることが、行動変容の動機づけに有効です。