A 市は人口 25 万人、高齢化率 31.4 % の中核市で、国民健康保険の加入者(被保険者)は 5 万 5 千人(加入率 22 %)である。
医療費分析を行ったところ、人工透析患者が年々増加しており、その約 6 割が糖尿病有病者であった。
そのため、保健師は糖尿病重症化予防対策を強化することにした。
糖尿病重症化予防対策のために、国保データベース〈KDB〉で情報を抽出した。
その結果、ヘモグロビン A1c〈HbA1c〉6.5 % 以上、尿蛋白(±)以上、推算糸球体濾過量〈eGFR〉60 mL/分/1.73 m² 未満の者の約 8 割が男性で、そのうちの 6 割が未治療だった。
A市では、50 歳代の男性の人工透析患者が急増していた。
そこで、未治療の 40〜50 歳代の男性をターゲットに 3 回コースの糖尿病重症化予防教室への参加を働きかけたところ、40 人の参加申し込みがあった。
初回の糖尿病重症化予防教室の内容で最も適切なのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
糖尿病重症化予防教室の初回に扱う内容を問う問題です。
対象は、HbA1c(ヘモグロビンA1c)6.5%以上、尿蛋白(±)以上、eGFR(推算糸球体濾過量)60未満で、未治療の40〜50歳代の男性です。
すでに腎機能の低下が始まっているにもかかわらず受診していないため、まず自分の状態の深刻さを理解してもらうことが必要です。
【選択肢別解説】
1:○ 糖尿病性腎症の正しい知識を伝えることが最も適切です。
腎症は自覚症状が乏しいまま進行し、放置すると透析に至ることを理解すると、受診や生活改善の動機づけになります。
2:× A市における人工透析の医療費は、市にとっての課題です。
参加者が自分の健康問題として受け止める内容ではなく、初回で扱う優先度は低いです。
3:× 運動の紹介は生活習慣の改善に役立ちます。
しかし、腎機能が低下している人は運動の内容に医師の判断が必要な場合もあり、病気の理解や受診を促す前に扱う内容ではありません。
4:× 重症化を予防する食生活は大切な内容です。
ただし、腎症の進み具合によって食事の方針が変わるため、まず病気を理解し医療につながることが先です。
【ポイント】
未治療者への保健指導では、まず自分の状態とその危険性を理解してもらい、受診につなげることを優先します。
生活習慣の具体的な改善は、理解が深まった後の回で扱うと効果的です。