正解を3つ選んでください。
正答1・4・5
解説
正解は1と4と5です。
上顎全摘術では上顎骨とともに硬口蓋の一部などが切除され、口腔と鼻腔・上顎洞がつながります。
そのため、発話中に呼気が鼻腔へ漏れ、鼻咽腔閉鎖機能不全に似た構音の特徴が生じます。
【選択肢別解説】
1:○ 開鼻声がみられます。
口腔と鼻腔がつながるため、母音などに過剰な鼻腔共鳴が加わります。
2:× 摩擦音の明瞭度が保たれるというのは誤りです。
摩擦音には口腔内の圧と狭めが必要なため、呼気が鼻へ漏れると歪み、明瞭度が低下します。
3:× 歯茎音が両唇音に異聴されるのは、上顎全摘術後の特徴ではありません。
口唇の形態と動きは保たれているため、両唇音と取り違えられる理由がありません。
上顎全摘術後に問題となるのは、鼻への呼気の漏れによる子音の歪みや鼻音化です。
4:○ 有声破裂音が鼻音に異聴されるのは特徴です。
[b]や[d]の閉鎖中に呼気が鼻へ抜けるため、[m]や[n]のように聞こえます。
5:○ 呼気鼻漏出による子音の歪みがみられます。
口腔内に圧をためられないため、破裂音や摩擦音が弱く歪んだ音になります。
【ポイント】
上顎全摘術後の構音障害は、鼻咽腔閉鎖機能不全とよく似た特徴を示します。
対応の中心は、欠損部をふさぐ顎義歯(栓塞子付きの義歯)の装着です。
【用語】
上顎全摘術:上顎の腫瘍などに対して、上顎骨を硬口蓋の一部などとともに摘出する手術である。
開鼻声:本来鼻に抜けないはずの音まで、鼻に響いて聞こえる声の状態である。
呼気鼻漏出:発話中に、息が口ではなく鼻から漏れてしまう現象を指す。
有声破裂音:声帯を振動させながら、口腔内を閉鎖して一気に開放して出す音である。
異聴:ある音を、別の音として聞き取ってしまうことである。
顎義歯:上顎の欠損部をふさぐための義歯で、発声や嚥下の機能を補う。