正答3
解説
正解は3です。
人工中耳(VSB:Vibrant Soundbridge)は、体内に植え込んだ振動子で耳小骨や正円窓を直接振動させ、音を内耳に伝える機器です。
補聴器で十分な効果が得られない伝音難聴や混合性難聴が対象になります。
【選択肢別解説】
1:× 振動子の振動を骨導刺激で内耳へ伝えるのではありません。
振動子を耳小骨や正円窓に取り付け、その振動を直接内耳に伝えます。
骨導で伝えるのは植込型骨導補聴器です。
2:× 植込型骨導補聴器(BAHA)に比べて高音域の利得が少ないのではなく、むしろ多いです。
振動子が内耳に近い位置で直接振動させるため、高音域まで効率よく伝えられます。
3:○ 記述は正しいです。
両側の先天性外耳道閉鎖症では気導補聴器が装用できないため、人工中耳の植込み手術の適応があります。
4:× 活動性の感染耳には植込み手術の適応はありません。
感染があると植込んだ機器に感染が広がるおそれがあるため、禁忌とされます。
5:× インプラントの振動子は鼓膜には装着しません。
主にキヌタ骨の長脚や正円窓などに取り付けます。
【ポイント】
VSBは外耳道をふさがないため、外耳道炎などで補聴器が使えない人にも有用です。
BAHAは頭蓋骨に固定した装置で骨導により音を内耳へ伝える点で、VSBと区別します。
【用語】
人工中耳:体内に植え込んだ振動子で、耳小骨や正円窓を直接振動させて音を内耳に伝える機器である。
BAHA:bone anchored hearing aid の略で、頭蓋骨に固定した装置の振動を骨導で内耳に伝える植込型骨導補聴器である。
振動子:電気信号を機械的な振動に変える部品で、人工中耳では耳小骨などを直接振動させる。
正円窓:蝸牛の基底部にある薄い膜でふさがれた窓で、内耳の液体の振動の逃げ道となる。
先天性外耳道閉鎖症:生まれつき外耳道がふさがっていて、伝音難聴を呈する状態である。
耳小骨:鼓膜の振動を内耳に伝える、ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨の三つの小さな骨を指す。