ある薬物100mgを被験者に急速静脈内投与した後に血中濃度及び尿中排泄量を測定したところ、未変化体の血中濃度時間曲線下面積(AUC)は1.0mg・h/L、代謝物の尿中総排泄量は20mg(未変化体換算量)であった。
一方、この薬物200mgを同一患者に経口投与したときのAUCは0.8mg・h/Lであった。
この薬物の体内動態の説明として誤っているのはどれか。
1つ選べ。
ただし、この薬物は肝代謝及び腎排泄でのみ消失し、代謝物は全て尿中に排泄されるものとする。
また、体内動態は線形性を示し、肝血流速度は80L/hとする。
正答5
解説
正解は5(誤っている記述)。
静注100mg時のAUC=1.0mg・h/Lより全身クリアランスCLtot=100mg/1.0mg・h/L=100L/hであり(選択肢2は正しい)、代謝物の尿中総排泄量20mg(未変化体換算)は投与量の20%が代謝により消失したことを意味するため、未変化体としての尿中排泄率は残りの80%となる(選択肢3は正しい)。
肝血流速度80L/hに対し肝代謝によるクリアランス=CLtot×0.2=20L/hであるから、肝抽出率Eh=20/80=0.25=25%となる(選択肢4は正しい)。
生物学的利用率F=(0.8/200)/(1.0/100)=0.4=40%である(選択肢1は正しい)。
門脈への移行率(吸収率×消化管通過率)はF/(1-Eh)=0.4/0.75≒53%であり、75%というのは肝を通過して全身循環に到達する割合(1-Eh)であって門脈移行率ではないため、選択肢5は誤り。